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【トラブル対策】スケジュール遅延でプロジェクト計画を見直す場合のリカバリ方法と注意点

はじめに

システム開発などのプロジェクトは不確定要素が多く、スケジュール遅延となることも珍しくありません。
数日くらいの遅延であればリカバリも難しくありませんが、プロジェクト計画に支障が出るほどの遅延になると、立て直し対策が必要になります。

スケジュール遅延の原因と対策については、「スケジュール遅延の原因と対策」の記事が参考になると思いますが、それではリカバリできず計画見直しが必要になる場合の対処方法について解説します。

事前準備

プロジェクトが大幅遅延した場合、まず最初にすべきことはプロジェクトの状況を確認し、どのように対処していくか方針を決めることです。

何も見えていない状況で、闇雲に対処しても効果は出ません。
無策に要員を追加してもメンバ教育や調整など追加作業が発生し、忙しくなる割には成果が出なかったり、逆に遅延が拡大する原因になる可能性もあります。

プロジェクト状況の分析

プロジェクトの状況を分析します。
この分析が不十分だと間違った対策をとってしまうこともあるため注意が必要です。

遅延の原因特定

遅延の直接的な原因を明確にします。
例えば技術・スキルなどの問題、リソースの不足、作業スコープの認識誤り、コミュニケーションの問題、外部要因(クライアントや協力会社との調整、製品の調達)などが考えられます。

影響範囲の特定

遅延がプロジェクトのどの部分に影響を与えているかを詳細に分析します。
特定のタスクやマイルストーンのみに影響しているのか、それともプロジェクト全体に波及しているのかを把握します。
他チームや外部組織とも連携している場合、そちらへの影響も考慮します。

ステークホルダーへの影響評価

遅延がステークホルダー、特にクライアントや上級管理層にどのような影響を与える可能性があるかを評価します。
納期の延期、コスト増加、品質への影響などが含まれます。

リスク評価

現状に基づいてリスク評価を更新し、新たに発生したリスクや懸念事項を特定します。
これには今後のスケジュールに影響を与える可能性のある未解決の問題も含まれます。

プロジェクト達成可否の評価

プロジェクトの目標や成果物が現在の状況下で引き続き達成可能かどうかを再評価します。
必要に応じてプロジェクトのスコープや目標を調整することが考えられます。

方針検討

プロジェクト状況の分析が完了したら、対策の方針を決めます。

遅延対策としてはスケジュール期間の調整や要員追加、作業スコープの見直しなどありますが、追加コストが発生したり、対象機能を減らすなど何かしら対価を支払うことになる可能性があります。

何を守り、何を犠牲にするのか。
優先度をつけながら、どのような方針で進めるのか検討します。

プロジェクト計画の見直し

決定した遅延対策の方針に則り、具体的にどのように計画を変更するのか検討します。
検討ポイントとしては次の点が挙げられます。

優先順位の再評価

プロジェクトの目標や成果物に対する優先順位を再評価し、リソースを最も重要なタスクに集中させます。
これには、スコープの調整や非必須の機能の延期も含まれる場合があります。

リソースの再配分

人員やその他のリソースを、遅延の解消に役立つタスクに再配分します。
外部からの追加リソースの確保も検討することがあります。

作業方法の改善

効率化や自動化が可能な作業プロセスを見直し、時間を節約できる方法を模索します。

スケジュールの再計画

現状分析の結果を踏まえ、プロジェクトのタイムラインを見直し、現実的なスケジュールを再設定します。この際、余裕を持たせた計画を立てることが重要です。

コミュニケーションプランの更新

ステークホルダーへの報告頻度を増やすなど、コミュニケーションプランを見直し、進捗状況や変更事項を透明に共有します。

リカバリ実施

遅延対策の方針を決め、プロジェクト計画を見直したらリカバリを行います。

タスク整理

プロジェクト計画を見直すレベルの遅延を対処するには、単純にスケジュールを修正するだけでなく遅延の根本原因を解消する作業が発生します。
そのタスクを洗い出し、具体化します。

ここで抽出したタスクをスケジュールに組み込むのですが、もともと予定していたタスクとの優先順位を設定します。
リカバリするためのタスクは最優先ですが、それでも外せないプロジェクト作業があれば、そちらのタスクも含めて優先度設定します。

スケジュール修正

タスクを整理したら具体的にスケジュールに反映します。
これは前述で整理したタスクを追加したり、担当アサインを見直したりします。
スケジュールを見直す場合は、以下の点に注意して行うとよいでしょう。

タスク網羅

前述のタスク整理で行っていますが、タスクの抜け漏れがないことを確認します。
少なくとも直近3ヶ月以内に発生するタスクは100%網羅している必要があります。
またスケジュール遅延が発生した原因へ対処する作業があれば、それもタスクに追加します。

タスク作業規模の妥当性確認

各タスクの作業ボリュームが妥当なのか確認します。
「実際にやってみないとわからない」というタスクがある場合、次の方法をとることが有効です。
・設計書など類似タスクが複数ある場合、うち1つを先行着手して作業を行うことで規模感を確認する
・課題の検討など、どれくらい時間がかかるかわからない場合、タスクを細かく分解して解決に向けた道筋を明確にすることで、どれくらいの作業量になるか設定しやすくする

マイルストーンの明確化

各マイルストーンをマスタスケジュールに記載します。
このマイルストーンは「この時期に対応」のような荒い設定だと、中間ゴール設定としては不十分です。
仮置きでもよいので日付を設定するようにします。

詳細スケジュール作成

目標のマイルストーンに向かって、各タスクにメンバと期間を設定します。
このときに期日を意識するあまり無理な日付設定をしないように注意してください。
メンバによって作業スピードが異なる場合は、それを考慮したスケジュール設定にします。

スケジュールの整合確認

詳細スケジュールを作成したら、マスタスケジュールと整合確認します。
要員計画によっては、マスタスケジュール側を調整する場合もあります。
プロジェクト全体が適正な期間設定となるようにスケジュール設定します。

修正スケジュールの承認

マスタスケジュールの修正はプロジェクト計画変更に該当するので、プロジェクトオーナーなどに承認してもらう必要があります。
またクライアントや他チームなどステークホルダーに対しても変更の合意を得る必要があります。

注意事項

スケジュールの大幅変更を行う場合の注意点をいくつか紹介します。

情報共有の徹底

スケジュールの大幅遅延が発生するプロジェクトの特徴として「情報共有不足」があります。

プロジェクトが遅延するときは、初期段階で何かしら予兆があります。
開発メンバやプロジェクトオーナー、もしくは他チームなど「遅延のリスクがある」と気づくポイントは様々です。

しかし、それに気づくにはプロジェクト内で状況が正しく共有されている必要があります。
プロジェクトが遅延しているプロジェクトでは、ステークホルダーに正しい情報が共有されていなかったり、逆に発信されている情報がプロジェクトマネージャに届いていない場合もあります。

情報が正しく連携されているか確認し、問題あれば是正します。

リカバリ後の評価

プロジェクト状況がリカバリされたように見えて、実は問題が残っていることはよくあります。
再び遅延が発生しないための考慮が必要です。

リカバリ計画の効果測定

リカバリ対策が予定通りに効果を発揮しているかを確認します。
進捗状況を定期的に測定し、想定通り遅延が発生していないこと、遅延の予兆がないことを確認します。
もし問題が残っているようであれば、遅延の原因を確認して対処します。

新たなリスクの評価

リカバリを実施することで、新しいリスクや課題が発生することもあります。
それらの発生状況を監視し、問題があればすぐに対処します。

プロセス改善と教訓

遅延の原因を分析し、今後同様の問題が発生しないよう、プロジェクト管理プロセスの改善策を検討します。
なぜ遅延したか、どうすれば良かったかを文書化することで、次のプロジェクトから意識して行動できるようになります。
また文書化されていれば組織全体で共有することもできます。

そして、プロジェクトマネージャ含めてメンバのスキル向上につながります。

メンバのモチベーション維持

メンタルのフォロー

プロジェクト全体のスケジュール遅延が発生した場合、プロジェクトの混乱や高負荷によりメンバの体力・精神力が低下している可能性もあります。
そのためメンバへのフォローやサポートには注意を払います。

リカバリが成功したときは、その成果をチーム全体で共有し、達成感を感じてもらいます。
チームメンバーの努力を認め、感謝の意を示すことも大切です。

トレーニングとサポート

遅延の再発を抑止したり、得た教訓を身に着けるためのトレーニングを行うことも考慮します。
リカバリ後、プロジェクトが上手く進められているなら、その手法をOJTで習得させるのもよいでしょう。