ウォーターフォール

プロジェクト管理の全体解説 – 立上げ/計画/実行/コントロール/終結

プロジェクトの監視・コントロール

スコープの妥当性確認

プロジェクトの要求事項が成果物に全て含まれていることをクライアントが確認するため受入テストを実施します。
これをPMBOKではスコープの妥当性確認と言います。
開発チームのテストで品質を保証し、クライアントが機能要求を満たしていると判断することで、成果物は合格と判断されます。

受入テストはクライアント側が準備や実施を行うものですが、エンジニアでないクライアントが対応することは困難なので、開発チームが支援して実施するケースが多いです。

受入テストではプロジェクトによって実施方法や範囲は異なりますが、次のような事前準備が必要です。

  • テストケースの作成
  • テストデータの準備
  • テスト作業場所の準備
  • テスト実施者の調整

システム開発に携わってきたクライアントメンバが受入テストを実施するなら難しくないのですが、一般ユーザが参加する場合は大仕事です。
誰が、どのテストを行うか、日程調整含めて調整が必要です。
また参加者へのテスト方針や具体的な実施方法、テスト中のフォローも開発チームが行うことが多いです。
テスト用の作業場所やPCやタブレットなどの端末も準備する必要があります。

受入テストの実施計画はプロジェクト計画策定のタイミングで検討して、スケジュールに組み込みましょう。

リスク監視

プロジェクト計画でリスクマネジメント計画を作成します。
この計画に記載されている、リスクが顕在化していないか、また問題発生の予兆がないか検知するための方法をもとに該当する事象が発生していないか定期的にチェックします。
リスクの顕在化や予兆を検知した場合、リスク計画で設定したアクションプランを実行します。

またプロジェクトが進んでいくと新しいリスクの発見や、工程が過ぎて発生しなくなったリスクもあるため、正しい状態となるようにメンテナンスします。

品質分析

品質分析の目的は不具合の早期発見、チームの弱点を把握して対処することで成果物の品質向上、およびプロジェクトの生産性向上です。
プロジェクト工程審査で分析して報告することが目的でなく、プロジェクトを改善するための取り組みです。
そのため品質分析は定期的に行います。

分析するためにはレビュー記録表や不具合管理表などからデータ収集します。
集めた情報から発生頻度の多い不具合の原因や機能を確認し、理由や根本原因を探ることで弱点を発見することができます。
この弱点に対策を行うことで検知していない不具合の発見や、将来発生する可能性の不具合を抑止することができます。

別記事「品質を定量分析する方法」を参照

プロジェクト予実の監視

プロジェクトの予実を確認する方法としてアーンドバリュー分析があります。
アーンドバリュー分析とは、プロジェクトの開始から現時点までのスケジュールや予算状況を定量的に測定する手法です。
正しくデータ収集と分析が行えると、スケジュールやコストの予実を確認するだけでなく生産性を確認することもできます。

アーンドバリュー分析では、以下の予実データを使用して検証します。

しかし、アーンドバリュー分析を行うためには予定と実績の工数管理を厳密に行う必要があるため、運用するには労力が必要です。
小中規模プロジェクトでは現場作業まで把握することができるため、大規模案件のように管理体制が確保できる場合に活用されることが多いです。

次はプロジェクトの終結について解説します。

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