プロジェクトの計画

資源マネジメント計画 – 設備や人材(チーム)を特定してマネジメントする

資源マネジメントの概要

プロジェクト遂行するためには人材、設備、ライセンスなど様々な資源を管理します。
プロジェクトに与えられた予算や資源は有限なので有効活用する必要があります。
そのためプロジェクト開始前に「資源マネジメント計画」を作成することで、資源コントロールできるようにします。

設備などの物的資源は、必要となる対象と入手タイミング、必要経費について管理する話なので分かりやすいと思います。
そこで、特に注意すべき人材に関する管理について解説します。
ちなみに人材管理では要員の確保だけではなく育成やチーム管理なども含まれます。

人材の獲得と役割

まず最初にプロジェクトで必要となるメンバを確保するための計画を立てます。
スコープ・ベースラインやスケジュール・ベースライン、コスト・ベースラインをもとに要員計画をたててメンバを集めます。

資源の特定

プロジェクトでは工程ごとに必要となる人数やスキルが異なるため「いつ」「どのようなメンバ」が必要なのか特定します。
メンバ数は工程の作業規模と期間で割ることで算出できます。
それらのメンバごとに求められるスキルを割り当てることで要員山積み表を作成します。
もしプロジェクト内でメンバ獲得や解放を頻繁に行うのであれば、人の出入りするごとにメンテナンスして最新化します。

資源の獲得

この要員山積みに当てはまるようにメンバを集めるのですが、社内にマッチするメンバがいなければ外部から調達することになります。
もし外部からメンバを調達する場合、まず過去に調達したことのある会社から検討します。
実績や能力が過去の知見でわかるため、まったく初見の会社よりはリスクが下がります。

それでも見つからない場合は過去に付き合ったことのない会社も選択肢に入れることになります。
その場合、ただ調整するだけでなく、会社間で口座開設といった事務手続きが必要になります。
手続きや調査のため、契約手続きに入れるまで1~2か月かかる場合もあります。

外部調達でベンダー活用する場合の注意点について、別記事「ベンダーマネジメント」を参照ください。

役割と責任

獲得したメンバごとに役割を設定します。
特に承認者と責任者を明確にすることが大切で、ここが明確になっていないと誰が責任を取るのか、誰に承認を得ればよいかわからなくなります。

チームのマネジメント

チーム憲章

プロジェクトを進めていくうえでチームの規範となるルールをチーム憲章と言います。
チーム憲章を共有することでメンバ間の誤解を減らしたり、コミュニケーションを円滑にすることができます。
リモートワークが中心となる場合は相互に顔を合わせることも少ないため、チーム憲章を作成して相互の連携を明確化することが有効です。

チーム育成

個人のスキルアップとは別に、プロジェクトのチーム力を向上させます。
各メンバが同じゴールを目指し、連携して進むための体制を作るための活動です。
以下は活動の一例です。

朝会/夕会の実施
10分程度の朝会を開催してチーム内の情報を共有したり、課題や進め方の指示、フィードバックを行います。

プロジェクト振り返り
プロジェクト完了時やプロジェクト工程が変わるタイミングなどで、プロジェクトの進め方を振り返り、良かった点や反省点を整理、共有します。
アジャイルでは、この振り返りを週1回など短いスパンで開催します。

研修
メンバのスキルを向上させるために必要な研修やセミナーを受講させます。
受講したらそれで終わりではなく、気づいた点、プロジェクトに活かせそうなポイントがあったか発表するルールにすると、チーム内に共有されるだけでなく、受講者本人の研修に対する姿勢も変わってくるので良いです。

コンフリクトマネジメント

コンフリクトとは2つの考え方の不一致によってメンバ間で衝突することです。
衝突といっても相互が認め合い意見をぶつけ合うことは問題ではなく、むしろ健全な衝突は推奨されます。

そうではなく感情的になったり、一方的に自身の意見を言い合うような状況は好ましくありません。
基本は当事者が相互に解決させるのですが、それが難しい場合はプロマネが介入することもあります。
ちなみにPMBOKには5つの対処法が提示されています。

退避や回避解決をあきらめ、対立の解決を放棄します。
鎮静や適応対立事項に焦点をあてないよう働きかけ、意見の一致するところを強調します。
一時的な対応策であり、問題を先送りにします。
妥協や和解妥協や和解は双方が完全な解決をあきらめ、ある程度の満足で我慢します。
双方とも不満は残りますが、一応の解決策になります。
強制や指示一方的に押し付けられた側はLoseとなるため、一時的な対処としては有効ですが後から問題になる可能性があります。
緊急事態などに暫定で取る対処法と考えてください。
協力や問題解決お互いの一方的な主張だけではなく、異なった視点からの意見を取り込むことで両者が合意できる方法を検討します。
この方法が最も望ましく、相互の意見もブラッシュアップしてよい結果が出ます。