プロジェクトの計画

ステークホルダーエンゲージメント計画 – ステークホルダーとの関係を構築する

概要

ステークホルダーとの関係性をチェックし、プロジェクト遂行しやすいように関係構築します。
大規模プロジェクトのようにステークホルダーが多人数になると、人ごとの相関関係が複雑になるため作成します。
また人間関係でトラブル発生したときに状況整理のために作成することもあります。

しかしステークホルダー関連の資料は、あまり表立って管理せずプロマネが自身で利用します。
というのも人の特徴など分析するものなので、当人に見られたら不都合ある情報です。
取り扱いには注意しましょう。

ステークホルダーエンゲージメントの計画

ステークホルダー登録簿

プロジェクトに関連するステークホルダーを整理して一覧化します。
ステークホルダー登録簿のサンプルは、こちらで無料公開しています。

それぞれのステークホルダーの立場や権力、責任範囲などの役割に関する情報から、人柄、プロジェクトに対する姿勢、考え方、プロジェクトへの関心度などをまとめます。
知らない人物については周囲にヒアリングすることもありますが、実際に会話すると聞いた話と違うこともあるため、自分なりにメンテナンスしていきます。

ステークホルダー登録簿については、別記事「ステークホルダー登録簿の作成」でも解説しています。

権力と関心度のグリッド

ステークホルダーが多人数になったとき、全ての人に対して全力投球で対応することは出来ません。
しかしキーマンのような重要人物への対応を誤ると問題になることもあります。
そこで権力とプロジェクトへの関心度をもとに対応を分ける考え方があります。

権力:高  関心:高

プロジェクトに対する権限があり、かつ関心度も高い相手には注意深く接します。
相手の考え方を意識しながら調整など連携していきます。
プロジェクトでベクトルが合えば強力な味方となりますが、そうでない場合は慎重に対応する必要があります。

権力:高  関心:低

プロジェクトに直接関与しないが、管理責任のある役職者などが該当します。
何かトラブルなどあれば権限を使って対応する立場の人が多いです。
プロジェクトの詳細ではなく成否そのものに関心がある相手の場合、報告資料は現場レベルと異なるので注意が必要です。

現場レベルでは、少しでも懸念事項があれば問題点にフォーカスして資料作成するケースがありますが、この位置づけの相手に問題点を強調した報告書を出すとハレーションが起きる可能性があります。
本来、必要のない調査や報告資料の作成などは避けたいところです。
人によって報告の仕方が変わることもあります。

これは「問題を報告しない」ということではなく、対策や検討が進んでいるか、また問題点の影響度といった情報を伝えるなど、不用意に相手を不安にさせない報告の仕方を意識するよう心がけます。
逆に、この位置の人が動かなければいけないようなトラブルが発生している場合は、相手に正しく問題を伝えたうえで、どのようなアクションを取ってほしいか明示する必要があります。

権力:低  関心:高

プロジェクトに対する権限はないのですが関心度が高い人です。
この人たちはプロジェクトが気になって仕方ない人たちなので、プロジェクトの進み具合や決定事項などの情報を共有するとよいでしょう。
それにより有益な情報が入手できたり、何かあったときに助力してもらえる可能性があります。
逆に情報が連携されないと不満を持つ場合があります。

権力:低  関心:低

プロジェクトへの影響度が少ない人については積極的なアプローチは行わず静観します。
ただ権限は低くても有益な情報を持っている人など、関心を持ってほしい相手がいるかもしれません。
そのような相手には関心度を高めてもらうため、交渉や対話、調整などを行います。

次のステークホルダー関与度評価マトリクスにも関連しますが、関心を持ってもらうためには相手とコミュニケーションを取ることが重要です。
なぜ積極的に参画してほしいのか、その重要性などをしっかりと説明します。
もし業務多忙で手が回らないといった環境要因があれば、その原因を解消するための手立てを考えます。

ステークホルダー関与度評価マトリックス

ステークホルダーの現在の関与度と、プロジェクトをうまく達成するために望まれる関与度を比較するには「ステークホルダー関与度評価マトリクス」を利用します。
これはステークホルダーごとに現時点と期待する関与度を表現します。
もし現時点と期待値で乖離している場合、そのギャップを埋めるための対策を検討します。

  • 不認識:プロジェクトの存在を認識していない
  • 抵抗 :プロジェクトに反対する
  • 中立 :プロジェクトに対して抵抗も支援もしない
  • 支援型:プロジェクトに協力的
  • 指導 :プロジェクトをリードする